不動産のコト
2016.08.30
こんにちは
司法書士の内田です。
前回に引き続きテーマは「認知症になる前の相続対策としての任意後見契約について」です。
今回は第9回
「財産管理等委任契約」について紹介していきます。
財産管理等委任契約とは、
本人の判断能力が十分にある段階で受任者が本人との契約に基づいて
財産管理を行うものです。
任意後見契約は本人の判断能力が低下しない限り効力が生じないため、
判断能力がある場合にはたとえ身体能力が低下していたとしても
誰かに手続きを依頼することができなくなってしまいます。
よって、本人の身体能力が低下した場合にも、受任者に本人に代わって
財産管理等を行ってもらうための契約が財産管理等委任契約となります。
財産管理等契約では、本人自身が受任者を監督できる能力を持っていることが
前提となりますので、受任者を監督する機関が用意されておらず、
受任者の権限濫用を防止することが難しくなります。
現実には本人が高齢であったりすると、
本人が受任者を監督することはほぼ不可能であると思われます。
ゆえに、財産管理等契約において本人が受任者に委任する代理権の範囲は、
任意後見契約における任意後見人の代理権の範囲より狭くするのが安全であるとされています。
次回は、「見守り契約」について解説していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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ライタープロフィール
司法書士内田 一輝
明治大学法学部卒業後、司法書士試験に合格。現在は東京都港区の司法書士法人中央法務事務所にて勤務。向学心が旺盛で、研修にも積極的に参加し、法律、規則や先例など日々学んでいる。綿密に調査し堅実な仕事を行う。不動産登記、後見業務を得意とする。趣味はテニス。
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