法務のコト
2016.08.16
こんにちは
さくら相続 代表の水光涼です。
遺言書を保管している方や、遺言書を発見した方は、
遺言書を残した方(以下「遺言者」といいます)が亡くなった後すぐに
家庭裁判所において「検認」という手続きを行う必要があります。(民法1004条)
「検認」とはどのような手続きなのでしょうか。
「検認」とは、遺言書の存在とその内容を相続人等に知らせるとともに、
遺言書の形状、加除訂正の状態、日付・署名など、
検認日現在における遺言書の内容を明確にして、
遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。
遺言書の内容が有効であるか、無効であるかの判断をする手続きではありません。
検認が必要な遺言書は、「自筆証書遺言」と「秘密証書遺言」の場合です。
公正証書遺言の場合、公証人が立ち会って作成し、公証役場で保管されており、
偽造や変造の可能性がないため、検認を行う必要はありません。
自筆で書かれた遺言書など、検認の手続きが必要であるにも関わらず、
「それを行わずに遺言を執行した場合」や、「家庭裁判所外で勝手に遺言書を開封した場合」
5万円以下の過料(罰金のようなもの)を支払わなければならない可能性があります。
また、不動産の登記手続きや金融機関の相続手続きなども
検認の行われていない遺言では手続きを行うことができないケースがほとんどです。
●1 申立てに必要な書類の準備
申立てに必要な「遺言書検認申立書」や、遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本や、
相続人全員の戸籍謄本などを準備します。
戸籍謄本は本籍地の市区町村役場で取得するため、遠方の場合などは郵送請求などでの
対応が必要となるため、時間がかかる場合があります。
遺言書検認申立書の記載例はコチラ
●2 家庭裁判所に対する遺言書の検認の申立て
必要書類が全て揃ったら、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対し、
検認の申立てを行います。
●3 遺言書の検認期日の通知
申立てを行うと、家庭裁判所より検認を行う日程(検認期日)を指定する「検認期日通知書」が届きます。
申立てより2週間から1ヶ月程度、先の日程になるため、しばらく時間がかかります。
●4 検認期日当日
検認期日当日は、遺言書を持参し、相続人又はその代理人が立会いのうえ、
封のある遺言書であればその場で封を開けます。
遺言書を持ってきた人に対して、「遺言書がどこにあったのか」、
立会人に対して、「遺言書の筆跡が誰の筆跡なのか」などの質問があります。
●5 検認済証明書を付した遺言書の交付
検認後、家庭裁判所より検認済みの証明書を付けた遺言書を返してもらいます。
申立人 | ・ 遺言書の保管者 ・ 遺言書の発見者 |
申立先 | ・ 遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所 裁判所の管轄区域を調べる場合はコチラ |
申立費用 | ・ 遺言書1通につき収入印紙800円 ・ 連絡用の予納郵便切手 ※裁判所によって異なるため、事前にご確認ください。 |
必要書類 | (1)家事審判申立書、当事者目録 (2)添付書類 ①遺言書(開封されている場合は写し) ※実務上の扱いとしては、提出は検認期日 ②申立人の戸籍謄本 ③相続人全員の戸籍謄本 ④受遺者全員の戸籍謄本 ⑤遺言者の出生から死亡までの戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本 |
検認の手続きは、申立てを行った後、2週間~1ヶ月程度かかります。
検認期日まで、金融機関の相続手続き等も行うことができないため、
まとまったお金が必要な場合、事前にその対策も考えておく必要があります。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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ライタープロフィール
司法書士水光 涼
大手人材紹介企業での法人営業を経て、現在は株式会社SAKURA代表取締役、東京都港区の司法書士法人中央法務事務所のパートナー司法書士。法律知識だけでなく、ナイーブな心情や人間関係まで配慮した女性ならではのきめ細やかな対応を得意とする。趣味はヨガ、美味しいお店探し。
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