法務のコト
2016.07.27
こんにちは
さくら相続 代表の水光涼です。
本日テレビでも特集されていましたが、
近頃は親子で終活を行う方が増えてきているようです。
本屋さんでエンディングノートの特設売り場が設けられたり、終活が一般的になってきて
遺言書を書かれる方も増えているのではないでしょうか。
では、遺品などを整理していて遺言書を見つけた場合、どうすればいいのでしょう。
ご家族や身近な方がお亡くなりになり、相続財産を分けようとする際、
前提として、まず遺言書があるかどうかを調査する必要があります。
(身近な方が亡くなったときの手続きについてはコチラ)
遺言書には大きく分けて「普通方式の遺言」と「特別方式の遺言」があり、
「普通方式の遺言」には以下の3つの種類があります。
・自筆証書遺言
・公正証書遺言
・秘密証書遺言
この中で1番簡単に作成することができるのが「自筆証書遺言」です。
自筆で書かれた遺言書を見つけても絶対に開けないでください!!
遺言書と書かれた封筒を見つけたら、どのようなことが書かれているのか
すぐにでも開けたいと思ってしまうかもしれません。
しかし開けてしまうと以下の2つのデメリットがあります。
①そのような行為は法律により禁止されており罰金のようなものを払わなければならない危険性がある
②他の相続人より、内容を偽造したのではないかと疑いをかけられうる危険性がある
まず①についてですが、民法では以下のように規定されています。
(遺言書の検認)
第1004条 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、
その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。
(過料)
第1005条 前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、
又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、5万円以下の過料に処する。
つまり、自筆で書かれた遺言は家庭裁判所で「検認」という手続きをする必要があり、
それをせずに開けてしまうと、5万円以下の過料(罰金のようなもの)を支払わなければならない可能性があるということです。
また、②については、もし開けた本人に「全財産を相続する」などの有利な内容が書かれていたとしたら…
他の相続人は、開けた相続人が偽造したのではないかと疑いたくなるかと思います。
余計な争いを招かないためにも、十分ご注意ください。
封筒の表に「遺言書」と書かれていれば一目瞭然ですが、
何も書かれておらず、誤って開けてしまったらどうなるのでしょう。
開けてしまったことにより、遺言書自体が無効になるわけではありません。
内容や記載方法が法律的に問題なければ、有効な遺言書として効力を持ちます。
誤って開けてしまった場合でも、その事情を家庭裁判所で説明し、検認手続きを行ってください。
遺言書を見たら、「愛人に全財産を譲る」など自分にとって不利な内容だったら…
思わず破って捨てたくなってしまうかもしれませんが、
絶対に隠したり、破棄したりしないでください。
相続する権利自体を失うことになります。
民法では以下のように規定されています。
(相続人の欠格事由)
第891条 次に掲げる者は、相続人となることができない。
5 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
相続人には「遺留分」という権利が認められているため、
仮に第三者に全財産を譲ると書かれている遺言書が見つかっても、
財産を相続できる可能性が残されています。
しかし、遺言書を書き換えたり、隠したり、破棄したりした場合、
最低限保証されている遺留分さえ失うことになります。
遺言書を見つけたら「開けない!」「隠さない!」「偽造しない!」「破棄しない!」
余計な相続争いを避けるためにも、遺言書を見つけたらまずは、専門家に相談してください。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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※本記事は、公開時点での法律、規則等に基づいております。
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ライタープロフィール
司法書士水光 涼
大手人材紹介企業での法人営業を経て、現在は株式会社SAKURA代表取締役、東京都港区の司法書士法人中央法務事務所のパートナー司法書士。法律知識だけでなく、ナイーブな心情や人間関係まで配慮した女性ならではのきめ細やかな対応を得意とする。趣味はヨガ、美味しいお店探し。
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